胃粘膜下腫瘍

2012年5月18日

 

胃粘膜下腫瘍は健常粘膜に覆われ、胃の粘膜より下層に存在する隆起性病変の総称である。
いままでこの、胃粘膜下腫瘍の多くは平滑筋が由来の腫瘍と考えられ平滑筋腫などと診断されてきた。
しかし、最近では、免疫染色の結果、胃腸管間質腫瘍gastrointestinal stromal tumor(GIST)の頻度が高いことが報告された。
GISTとはKIT and/or CD34を発現し、カハールの介在細胞 (interstitial cell of Cajal, ICC)由来あるいはICCへの分化を示すものと定義されている。
カハールの介在細胞は消化管筋層内のAuerbach筋間神経叢周囲に存在し、消化管運動のペースメーカーとしての働きを担う細胞と考えられている。したがってGISTの発生部位は消化管がほとんどで、胃にもっとも多い。
その他の胃粘膜下腫瘍としては、平滑筋腫、平滑筋肉腫、神経系腫瘍、のう胞、迷入膵、脂肪腫、血管腫、悪性リンパ腫、リンパ管腫、好酸球性肉芽腫などある。
胃の粘膜下腫瘍の大部分は無症状であるが、潰瘍を合併する場合は胃部不快感、胃痛、吐血などで発見されることもある。

胃粘膜下腫瘍の診断するためには、内視鏡検査での表面粘膜の観察が必要。周辺と同様の粘膜に覆われており、境界がなだらか、腫瘍周辺~隆起部に粘膜ヒダ(bridging fold)などが特徴的。表面の色調や固さなどによりある程度の鑑別は可能であるが、確定診断には組織検査が必要である。
最近では超音波内視鏡による穿刺吸引細胞診が行われることがある。尚GISTの診断がつけば外科的手術が適応になる。
しかし実際の臨床では穿刺吸引細胞診を行わない場合も多く、胃粘膜下腫瘍の大きさにより下記のように治療方針が分けられる。

①腫瘍が2cm未満
内視鏡検査で悪性所見がなければ経過観察

②2~3cm以上の粘膜下腫瘍
超音波内視鏡検査、CT検査などで悪性を疑う所見があれば手術検討する。

③3cmをこえる場合
外科切除、腹腔鏡手術を検討する

私見

胃粘膜下腫瘍はしばしば遭遇する疾患であるが、従来より、平滑筋腫や平滑筋肉腫と診断されてきたものの多くがGISTである可能性が高いと考えられてきている。
分子生物学的研究の進歩から慢性骨髄性白血病の腫瘍化と関連するチロシンキナーゼを標的にするイマニチブの登場もあり、転移を伴うGISTにも効果的な治療法が発見されてきた。
現在では保険診療下での使用も可能である。今後ますますのシグナル伝達阻害薬の治療応用が期待されている。

 

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