2012年4月16日

大牟田ガーデンホテルにて柳川病院院長である於保先生により、最近の話題を含め、主に逆流性食道炎に関して講演会、座談会が開催されました。

講演内容

  • 食生活の欧米化や、ピロリ菌感染率の減少により、胃酸分泌が高まり、逆流性食道炎などの酸関連疾患が増加しています。
  • プロトンポンプ阻害薬は、臨床試験で逆流性食道炎、機能性ディズペプシア症状に対して効果が高い。
  • ピロリ菌がいる場合萎縮進行し、胃酸分泌が減少する。肥満、高齢になっても胃酸分泌減少せず、酸関連疾患が増加。
  • リウマチ患者などの整形外科疾患のNSAID潰瘍や抗凝固薬による消化管出血が増加。
 

GERD(逆流性食道炎)

  • 頻度はgradeA,gradeBが多いが、粘膜面に変化が見られないNERDが過半数を占める。
  • 診断は内視鏡検査が不可欠。
 

NERD

  • 女性多く、PPIの効果が低い。
  • 知覚過敏が関連いていると考えられている
 

逆流性食道炎治療に関して

逆流性食道炎治療の目標は患者のQOLを保つため、症状を1週間に一回以下にコントロールすること。
しかし、実際はコントロールが不良な患者が多い。
胃内のPHを4以上にするのが大事でありPPIが最も効果がある。
 

効果不十分な場合の原因

内服コンプライアンスが不十分
夜間酸分泌回復
用量不足
機能性疾患の合併
うつ病
 
 

NSAID潰瘍

中止できる場合は中止し、PPIを中心とした治療を行う
疼痛のためNSAID再開必要な患者が多い。
セレコキシブは消化管イベントを抑制する。
 

私見

当院でも逆流性食道炎の患者は以前と比較し増加している印象があります。治療にはファーストチョイスでプロトンポンプ阻害薬を使用していますが、
中には治療抵抗性の患者がいるため、プロトンポンプ阻害薬の極量投与や、モサプリドの併用、場合によっては漢方薬(六君子湯)併用で加療することもしばしばあります。
薬物療法は逆流性食道炎患者のQOLを劇的にかえていますが、生活習慣の是正も薬物療法同様必要です。
食べ過ぎ、特に脂肪を多く食品や、コーヒー、香辛料、アルコールなどを控え、禁煙が望ましい。
食後にすぐに横にならないことや、おなかを締め付ける服装、前かがみの状態での作業などは避けることが望ましいとされています。
診察時に逆流性食道炎が疑わしい場合にはFスケールという逆流性食道炎の問診票をチェックしていただき、疑われる場合は上部消化管内視鏡検査を勧めています。