平成24年2月10日(金)に大牟田ガーデンンホテルでレミケード勉強会が開催されました。済生会大牟田病院の稲吉先生が座長、東邦大学医療センターの鈴木康雄先生の講演、久留米大学光山先生が総括、参加施設(久留米大学病院、大牟田市立病院、大牟田済生会病院、こはまクリニック、西村クリニック、永江医院、長岡内科医院)間でのディスカッションがありました。
 

講演内容、ディスカッション内容

クローン病の治療原則は、
クローン病の活動性をコントロールし、患者のQOLを高めることであり、レミケード(抗TNFα抗体)の維持療法が保険適応になったこともあり、クローン病患者のQOLは改善してきている。
 

①レミケードの適応に関して

全治療患者の中でレミケード導入は約50%、難治症例、重症、肛門部病変合併、ろう孔合併、大量出血、若年、術後再発抑制などで積極的にレミケード投与がされている。
以前はペンタサ、ステロイド、など効果不十分の患者にレミケードを投与するという、いわゆるステップアップ治療が主流であったが、クローン病の病状を抑えきれないと考えられる患者に対しては積極的にレミケードファースト、いわゆる、トップダウン治療が寛解導入、維持に有効率が高い。
 

②術後のレミケード有効性

外科治療後に早期でレミケード開始した場合有効率が高い
 

③レミケード効果減弱に関して

効果減弱は一定の割合で起こる。その原因として血中濃度の低下が考えられる。レミケードの濃度が1μg/ml以上であると、効果ある場合が多く、対処法として投与時期の短縮(保険適応なし)、投与量の増加(最近保険適応有)、免疫抑制剤の併用(抗レミケード抗体なければ後から併用でも有効か?)
二次無効は平均して38週頃に起こることが多く、それらの症例では増悪以前にレミケード血中濃度低下、CRPの上昇、内視鏡的スコアの上昇が認められる場合が多い。レミケード増量などにより増悪を予防できるかもしれない。
 
二次無効での問題
1)血中濃度の低下
2)他の合併症の存在
3)TNFα以外の他のサイトカインの関与
  

④免疫抑制剤併用

sonic sutdyではレミケード、免疫抑制剤未使用の患者には、レミケードに免疫抑制剤を併用した方がレミケードのトラフ値が高くなり、有効性があるとの結果であった。
 
以上
 

私見

炎症性腸疾患の治療では「生物学的製剤」の出現により、劇的に改善され、炎生命予後の改善が期待できる状況となってきています。クローン病患者は、脂肪分を含む食事により、頻回の下痢症状が出現するため、以前エレンタールなどのは経腸栄養療法必要不可欠であったが、レミケード治療は食事療法を大幅に緩和することができ、患者のQOL改善にも大きな寄与をしている。
レミケードはクローン病だけでなく、潰瘍性大腸炎でも使用 できるようになりました。またアクテムラはIL-6を阻害する新しい作用の「生物学的製剤」世界に先駆けて日本で関節リウマチ治療に市販承認されています。現在クローン病での承認が期待 されています。